知ってた?「本物のわらび餅」を見分ける2つの方法


 

今回は、いろんなところで販売されている定番の和菓子「わらび餅」について語ってみたいと思います。わらび餅には厳密に言って本物とそうでないものがあるって知ってますか?
本物のわらび餅は流通が少なく貴重なものであり、味わいは格別です。

皆様に本物のわらび餅を食べていただきたいので特別に見分ける方法を教えましょう。

 

蕨粉から作られるのが本来のわらび餅である

 

わらび餅のルーツを探っていくと、戦国時代まで遡ります。
当時の連歌師であった、谷宗牧(生まれ年不明〜1545年)が書いた「東国紀行」に日坂宿(東海道五十三次の25番目の宿で静岡県にあります)で食べたわらび餅に舌鼓を打った旨の歌が詠まれています。

 年たけて又くふべしと思ひきや 蕨もちも命なりけり

わらび餅をまた食べるべしとは、よほど美味しかったのかと思います。

日坂で作られていたわらび餅がルーツで、蕨の根から取れるデンプンに水を混ぜて煉って出来たものが本来のわらび餅と言われております。

しかし、日坂のわらび餅が全国的な人気になると、少量しか採れない蕨の根だけで作るのが難しくなってしまいます。江戸時代に入ると、蕨粉に葛粉を混ぜて蒸したものに、塩味のきな粉をかけたものがわらび餅と言われるようになったそうです。現代のわらび餅も、葛粉を混ぜて作られてるのがほとんどです。

日本で出回っているわらび餅は、本来の製法で作られたものは少なく、葛粉が入ったわらび餅も実はそんなに多くはありません。悲しいことに、蕨粉が全く入っていないデンプンだけで作られたわらび餅がほとんどを占めているのが現状です。

本物のわらび餅はぷるんと弾力があるものの、軽く噛むとすぐに解けて、爽快感とほんのり上品な甘さが口の中に広がる性質を持っています。デンプンだけで作られた単調で味がしないものと比べると差が顕著であります。

いろんなわらび餅がある中で本物(あるいは本物に近い)のわらび餅を見分ける2つの方法があるのです。

 

わらび餅の色が黒や茶色に近いほど本物である

 

本物の蕨粉は黒っぽい茶色で、この写真のように色が濃いほど蕨粉を多く使われており、本物の度合いに近づきます。

 

わらび餅は本来、春に作られるものである


最近のわらび餅は年中販売されているイメージがありますが、わらび餅は本来春に作られる季節ものの和菓子です。

冬に採取される蕨の根から蕨粉が作られますが、実はかなりの手間がかかるため、冬に仕込んで春に出来上がるほど。日持ちがしないため、ちょうど出来上がるのが春だと言われています。

よって、春のシーズンにしか作っていないわらび餅があったとすれば、かつての製法を守っていることになるので、本物の証になる可能性があります。
色と季節が本物のわらび餅を見分ける要素です。

 

和菓子に限らず、旬や素材を大切にしている食べ物は素晴らしく美味しいです。
本物のわらび餅を有楽町界隈で探してみましたが、今のところ出会えておりません。いつか出現するのを楽しみに待ちつつ、ご紹介できれば幸いです。